技術者の誇り

なぜ仕事をするのか。答えは一人一人の胸の中に

「雨が降っても風が吹いても、ひたすら仕事をするのはなぜですか」と、
訊かれることがあります。そんな時、私たちの答えは「それが仕事だから」という、そっけないものかもしれません。でも、本当の答えは、ひとりひとりの胸の中にちゃんとしまってあるのです。

あるベテランは、『申し込めばすぐつく電話』『どこでもすぐつながる電話』をモットーに電話事業が推進された時代を担ってきました。
彼は、不便な山奥に電話をつけに行った日のことを昨日のことのように覚えています。工事が終わると、家の人はお寿司をとって「一緒に祝ってくれ」と言いました。その幸せそうな笑顔に、熱いものがこみ上げました。
「自分の仕事を、こんなに喜んでくれる人たちがいる」。
以来、胸の奥からあの笑顔が消えることはありません。

手先の器用さに自信があって入社したある若者は、班長の指の動きに圧倒されました。
「こんなにすごい人がいるなんて」
「俺なんかこの人の10分の1、いや、それ以下や」。
その日から彼は仕事が終るとすぐに"つなぐ練習"をしています。
石の上にも3年ということわざがあるが、とてもその年数で習得できるとは思えない。でも少しでも班長さんに近づきたい。彼はいまそれだけを考えています。

電話線をつなぐ。光ケーブルをつなぐ。ただそれだけの単純な作業。
しかしそこには彼らだけにわかる美学があります。
彼らだけのこだわりがあり、物語があります。
誰に読まれるためでもない、自分が自分の誇りを支えるための物語―。
西都は日本の発展を寡黙のうちに支えてきた、
無名の、誇り高き技術者たちの集団です。



  • 大切な人間性
  • 通信にこめた思い